札幌交響楽団首席客演指揮者
下野 竜也
鹿児島生まれ。東京国際音楽コンクール、ブザンソン国際指揮者コンクール優勝。 NHK交響楽団正指揮者、札幌交響楽団首席客演指揮者、広島ウインドオーケストラ音楽監督、広島交響楽団桂冠指揮者。 洗足学園音楽大学、東京藝術大学、東京音楽大学にて後進の指導にもあたる。 齋藤秀雄メモリアル基金賞、芸術選奨文部科学大臣賞、有馬賞、広島市民賞、中国文化賞など受賞多数。NHKFM「吹奏楽のひびき」パーソナリティ。
音楽学科 教授
萬 司
音楽学科 教授
河野 泰幸
下野
まず、札幌大谷大学が「札幌芸術大学」へと生まれ変わるというお話を伺い、率直に「ついにその時が来たか」と嬉しく思いました。多くの人は、東京を「中央」、それ以外を「地方」と区分けしがちですが、芸術の文脈において札幌はその枠に収まりません。私が敬愛する伊福部昭先生や早坂文雄先生の伝記などを読むと、彼らが若かりし頃、札幌はいわゆる「モダンな街」でした。
河野
戦前の話ですよね。インターネットもない時代に、どうやって情報を得ていたのでしょうか。
下野
彼らは非常に高価だったフランスの楽譜を個人輸入していたそうです。当時、ラヴェルなどの楽曲は、クラシックというよりは「生まれたてほやほやの現代曲」でした。彼らはそれを手に入れ、有志で集まってレコードを聴き、徹底的に分析していた。つまり、東京の流行を追うのではなく、札幌にいながらにして世界水準の芸術に直接触れようとする気概があったのです。
萬
そうした先人たちの知的好奇心やエネルギーが、札幌の「文化的な高さ」を形成してきたのですね。

下野
ええ。決して「地方だからレベルが低い」ということはありません。むしろ、独自の美意識や批評精神が育まれてきた街です。早坂文雄さんの作品を演奏すると、アカデミックな視点からは「間違い」とされるような書法に出会うことがあります。しかし、それを「間違い」と断じることは誰にもできません。なぜなら、そこには既存のルールにとらわれない強烈なエネルギーと独創性があるからです。
萬
その「既存の枠にとらわれない精神」こそ、私たちが新しい大学で継承すべきものだと感じています。北海道という土地が持つフロンティア精神、開拓者の気質と言い換えてもいいかもしれません。
河野
これまでは音楽、美術とそれぞれの専門教育を深めてきましたが、これからはその壁を取り払っていきます。かつて札幌の若者たちが喫茶店に集まり、音楽や文学について熱く語り合ったように、本学が現代における「文化的なサロン」のような役割を果たせればと考えています。
下野
素晴らしいですね。過去の偉大な歴史、いわば「縦軸」をしっかりと理解した上で、現代の学生たちが新しい感性で「横軸」を広げていく。そうすることで、札幌からまた新しい芸術の波が生まれるはずです。
撮影場所:大谷記念ホール
*vol.2は近日公開予定です。


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